相続で揉め事になりそうなご婦人がいまして、、、、
顧問税理士のほかに、顧問弁護士もいる。

相続の初期段階から
税理士は税理士の
弁護士は弁護士の知見から
まとまりやすい提案をしてきて、

でもどの提案も気に入らず
日にちだけが過ぎていく。

提案のバリエーションを増やしたり、
説明の仕方を変えても、
耳に入らない。

先日その顧問弁護士さんと話をしたら、
「あの人は専門家の言うことよりも、その辺のおばさんの言うことを信じるんですよ。」って。

むー、やはりそうですか(涙)

大日本帝国憲法下の明治民法では、
戸主の地位の継承は「家督相続」といわれ、
原則として男性長子の単独相続主義がとられていました。

結婚した女性は自分の財産も夫の管理となり、
相続権もなく、
訴訟さえ家長の許可がなければできず、
自分から離婚する権利もない状態でした。

戦後1946年に公布され、
1947年5月3日に現行憲法が施行されるまで、
日本では女性の権利はほぼなし(選挙権もなし)

1947年に生まれた人は、2021年現在74歳。
この方々は、旧憲法下で育った親に育てられながら、
新憲法に従い生きているので、
両方の権利意識が混在しています。
そして同世代の友人同士で体験を共有し合い、
価値観を強化しています。

すなわち、
相続は長男がすべて相続する。
他の子どもは判子代程度の分与。
夫の財産を誰に配分しようと自分の自由。
という信念をお持ちの方がおられます。
(もちろんこの世代でも、みんな仲良く平等に分ける、という方もいらっしゃいます)

配偶者の相続権は1/2ですから、
それをどうしようと構いません。

しかしこの方々の子供世代は1960~70年代に生まれているので
新憲法の価値観を持っています。
よって他の相続人の権利を認めないと
争いを避けるのは難しくなります。

こういうご家族に分かっていただけたらなぁと思うのは
家族でも、
「同じ価値観を持つことはない。」
「他者は別の人格と人権を持つ」という事実です。

それは悲しいことでも、
切ないことでもありません。
価値観の違いは
お互いがそれぞれの人生を
一生懸命生きてきた証で
むしろ素敵なことなのです。

人の価値観は
どんな経験をし、
それをどう感じ、どう解釈したかの、
積み重ねで成り立っています。

そして
通った学校、
付き合う人、
どんな時代を生きてきたか、
そこで何を感じたか、などが
完全に一致している人は、
世界のどこにもいません。

よって
どちらが正しい、良い悪いはなく、
多様な価値観があるのが、
自然であるということです。

そして相手の人生は経験できなくても
そういう価値観を持つに至った背景を想像し
思いやることは出来ます。
それがお互いの人生へのリスペクトに繋がります。

このリスペクトがないところで

自分の価値観の正しさを証明しようと、
価値観を押し付け始めると
揉めてしまいます。

たとえ主張が通ったとしても、
それ
は解決でも、勝利でもありません。

もちろん、
双方向で思いやりが持てない場合もあります、
話し合いの過程で、心が揺れたり、痛みを感じることもあるでしょう。

そんな状況でも
罪悪感を持つことなく、
正々堂々と、
自分らしい選択をしていただけたらと思っています。
それがあなたの次の人生に繋がります。


一人で転換するのがお辛いときは、ご相談くださいね。